エビデンスは最良のヘルスケアを知る手がかり
投稿:2023/11/20
更新:2023/12/06
セルフケア
エビデンスとはなにか
エビデンスベースドメディスン(Evidence Based Medicine、略称EBM)という言葉が提唱されて30年が経ちました。ヘルスケア領域ではエビデンスに基づいた治療や健康管理が望ましいとされる考えが定着しています。
エビデンスとは何でしょうか。日本語では科学的根拠と表現されます。「インフルエンサーが紹介するアレ」でも「偉い人の意見」でもないことはもちろん、たとえば「風邪薬を飲んだら治った」「甘いものを毎日食べたら虫歯になった」などの単純に観察される事実でもありません。
エビデンスとは研究の成果を積み上げ、反対意見も吟味しながら確立していく情報です。なるべく誤差の影響を受けない研究を行い、先行研究や他のフィールドでの結果とも照らし合わせて解釈した結果の積み重ねです。
十年以上かけて認められた喫煙の危険性
たとえば、喫煙が肺がんの原因になることは、現在では多くの人が認識しています。しかし、スムーズにエビデンスとして確立し、広まったわけではありませんでした。
20世紀初頭、世界中で急増した肺がんの死亡原因には喫煙だけではなく、大気汚染、診断性能の向上、ヒ素、医療の偏在など様々な可能性が指摘されていました※1。タバコ会社の強い反発もありました。
研究者らは、動物実験や基礎研究だけではなく、人々の行動や健康状態の観察を地道に積み重ね、十年以上かけてようやく喫煙が危険であるとの政府公式レポートにこぎつけたのです※2(とはいえ、当時の研究者らにも多く喫煙者がいたようですが…)。
ひとりで思い詰めず、周囲と相談する
喫煙していてもがんにならない人がいるように、エビデンスは誰にでもピタリとあてはまるものではありません。また将来くつがえされる可能性もゼロではありません。しかし今、最良のヘルスケアを知る手掛かりは、基礎研究と多くの人の情報、そして信頼できる研究方法によって見いだされます。
健康情報が知りたいときは、出版元が信頼できる団体か、引用元が明示されているか、利益誘導につながる情報源でないかなどを確認し、信頼できるエビデンスかどうかを確認し、ひとりで思いつめず、まわりの専門家とも相談しながら調べてみてください。
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※参考文献
※1 Doll R, Hill AB. Smoking and carcinoma of the lung. A prelininary report. Br. Med. J. 1950;2:739-48.
※2 US Public Health Service: Smoking and health. A report of the Surgeon General. Washington, DC: US GPO, 1964.
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